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かつては農家いまはハッカー

で、もうすぐブロガーも舞台に上がってきそうだというお話。あとはオープンソースのビジネスはサポートとカスタムだよねというところ。

オープンソースがなぜビジネスになるのか
井田 昌之 進藤 美希
毎日コミュニケーションズ (2006/06)

ビジネスの話は分量的には1/4程で、メインは前半のストールマンからLinuxへ繋がるOSSのストーリーと、後半1/4のOSS開発コミュニティの話題、となっている。

かといってビジネスの話が薄い、という訳でもない。

第1章はリチャード・M・ストールマンのエピソード集。ストールマンといえば『フリーソフトウェアと自由な社会』だけど、それよりも人間くさいエピソードが多くて読んでて楽しい。

第2章で進藤美紀さんにバトンタッチして、ビジネスの話が出てくる。IBMは史上最大の損失を出した1993年以降、一社で全てを抱えるやり方からOSSを扱ったインテグレーション/コンサルティングに戦略を変更した。

別の話題では、生産者でもあり消費者でもあるプロシューマーという概念を紹介し、このプロシューマーがネットワークの発達により大きな流れを作り出しうる状況になりつつあるという分析をしている。

そもそも全員が食物の生産者であり消費者であった古代のコミュニティの形態が、1980年代にコードを対象としてハッカーの間で発生し、現在は情報を対象としたプロシューマーとしてブロガーが活動している、と見立てられるのだそうだ。

3章、4章では再び井田昌之さんに戻って、OSS界隈のコミュニティと現状、そして今後の展望が語られる。

オープンソースという視点から見れば、IBMは1983年からハードウェア・ソフトウェア・スタッフといった多大なリソースをMITに提供し、産学協同プロジェクトとしてネットワークシステムの開発に力を入れてきた。そこで開発されたソフトウェアの成果は公開されていて、今もネットワークの基盤として広く使われている。これがProject Athenaで、現在も使われているX Window Systemや認証サーバーのKerberos、あるいは最初のインスタントメッセージのZephyr、ネームサーバーのHesiod、などが開発された。

IBMとプロシューマーの関係はこのように続いてきた。現在でもLinuxやEclipseなどIBMが多額の資金を投入している技術は多い。

そういう経緯があったからこそ、ソフトウェアはOSSに頼ってしまい、IBMはインテグレーションとコンサルティングで付加価値ビジネスをしよう、という思い切った舵取りができたのかも知れない。誰もが生産者となる時代であれば、より大きな付加価値を与えることは大きな力を持った企業でなければ難しい。

この先は、情報に付加価値を与えるプレイヤーの出番なのだろう。Googleは強力な検索で情報に付加価値を与えることに成功したけど、この付加価値はアクセス手段についてであって、情報自体の付加価値については未だ人手に頼るところが大きい。

情報の付加価値産業としては、現状は今一歩物足りない。もう一個ぐらい小さなイノベーションがいりそうだけど、どんなサービスが考えられるだろうか。


Project Athenaについてはこちらの本を紹介しておきます。

MITアテナプロジェクトのすべて―大規模分散システムに挑んだ先駆者たちの記録

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